「相続税の計算の流れ」・・これで最後になります!
<前回からの続きの例>
<ステップ4>で各自の相続税額を計算しました。
相続人は配偶者と子なので、2割加算はありません。
妻 666,000円
息子 476,000円
娘 357,000円
課税価格の合計額 6300万
配偶者の実際の課税価格 2800万
相続税の総額 150万
<ステップ5>
各自の納税額を計算します。
●贈与税額控除
被相続人からの相続開始前3年以内の贈与について支払った贈与税は控除されます。
●配偶者の税額軽減
戸籍上の配偶者限定。婚姻期間の長短、関係なし!配偶者の相続放棄、関係なし!
「そんなの関係ね~!」この税額軽減はかなり必殺技です!!
ただ、必殺技がゆえに、二次相続(次に起こるだろう配偶者の相続)も考えて使わないと、二次相続時に余分に相続税を払うことになります。
(b)1億6000万
のどちらか大きい金額(c)
次に(c)と配偶者の実際の課税価格のどちらか小さい方の金額(d)
配偶者の税額”軽減”額=相続税の総額×(d)/課税価格の合計額
<例>
・例題の配偶者(妻)税額666,000円 ここでは下記の「配偶者の税額軽減」を全額使います。
に当てはめますと
(a)6300万×1/2=3150万
(b)1億6000万
(c)1億6000万>3150万=1億6000万
(d)1億6000万>2800万
(d)=2800万
配偶者の税額”軽減”額=150万×2800万/6300万=666,000円
・配偶者(妻) 666,000円-666,000円=0円 納税額はありません!
※0円でも申告書は提出しなければなりません。
●未成年者控除
10万円×(20歳-未成年者の年齢※)が控除されます。
※1年未満は数は切り捨て。「20歳」は令和4年4月以降は「18歳」になります。
※相続放棄しても使えます。
●障害者控除
10万円(特別障害者の場合20万円)×(85歳-障害者の年齢※)が控除されます。
※1年未満は数は切り捨て。
※相続放棄しても使えます。
●相次相続控除
10年以内に2回以上の相続が続いたとき、前回の相続税の一定割合を今回の相続税から控除できます。
●外国税額控除
在外財産を取得し、その財産について外国の相続税が課税されている場合において、国際間の二重課税を調整できます。
●相続時精算課税分の贈与税額控除
相続時精算課税において、贈与税を支払った場合、相続税より差し引きます。引ききれない金額があるときは還付されます。贈与税額控除は還付はありません。残念!
以上、それぞれの控除額を各自の相続税額から差し引き、各自の納税額を計算します。
<例>を参考にしますと
妻の納税額は0円に、
息子の納税額は3年内に贈与があれば贈与税額控除が引かれます。ほか控除額がなければ納税額は476,000円に、
娘の納税額は3年内に贈与があれば贈与税額控除が引かれます。ほか控除額がなければ納税額は357,000円になります。
<最後に>
いかがでしたでしょうか?
ざっと基本的な相続税計算の流れでした。
疲れませんか?疲れてないあなた様はおそらく専門家の方ですね(^^)!
詳細はともかく、「あ~、うちは相続税はかかりそうにないなぁ」とか、「相続税かかってもわずかだから、なんとかなりそうだなぁ」とかなんとなくでも把握できれば安心していただけるかなと思い、ずらずら書きました。
もし、もし、「あちゃ~、うちはめちゃ相続税かかるわ!」とか、「もっと詳しいことを知りたい!」ということでしたら、”相続専門”の税理士さんにご相談してください。
そうは言いましても、頭の中で理解していても、なかなか動けないものです。
そこで、ご相談者様の目線で、ご相談者様のお話をお聞きして、総体的に見てどこに潜在的問題点があるのか明確にして、さまざまな”相続”の各専門家とタッグを組んで、専門家に橋渡しするのが、私の役割になります。
税理士さんなら誰でもいいという訳ではなさそうですよ。また、ほかの士業さん、不動産屋さん、保険屋さんも実は同じだそうです。必ず、「”相続”専門の」●●屋さんをお探しいただくか、私のような相続コンサルタントにご依頼ください。
まずは、まずは、皆さま、そもそも・・引き継ぐことになる土地とか債務とか相続財産全体を把握していらっしゃいますでしょうか?
法定相続人になられるだろう方々(受け継がれるだろう方々)をご存じでしょうか?頭で描いてらっしゃる人数は正確でしょうか?
そして、やっと次に、相続税がかかる、かからないの”相続税”問題に取りかかれます。
更に、更に、この”相続税”問題と遺産分割でもめるもめないは、少々別に考える必要があるかも!とうことを申し上げときます。相続税がかからないだろう方々のほうが、もめる確率は非常に高くなる統計は出ています。
私が本当に言いたいのは、実はもっともっと相続発生前の段階で、至極簡単なことだけどなかなかできないことが本質ではないかと思っています。それは、なんでしょうか?
それをゆっくり考えていきましょう!